THEORIES:LEVEL_06

 レベル6では、距離戦の三すくみを身につけよう。

間合いの捉え方

 キャリバーの攻防でおさえておいてほしいセオリーに、「間合い」の概念がある。間合いはおおまかに「近距離」、「中距離」、「遠距離」の三つのレンジがあると捉えよう。

 「近距離」はその場から出す攻撃が届く間合い。端的には投げ間合いと考えてほしい。ピュラやナツなど、小型武器で発生の早い技を持つキャラが有利な間合いになる。

 「中距離」は、その場攻撃が先端で届く〜届かなくなるくらいの間合い。ガードバック(ガードによる押し出し)で間合いが遠ざかったり、近距離からバックステップしたくらいがこの距離になる。シバやヒルダなどの長物持ちに有利。

 「遠距離」は中距離以上に遠く、攻撃するためにRUNやステップが必要になる間合い。具体的には開幕の間合い〜以遠を扱う。近距離が得意なキャラは、武器リーチが短くその場からは攻撃が届かないので、攻撃するために余分な前ダッシュが必要になってくる。
 便宜上、間合いの焦点を近距離〜中距離のやり取りにあてたものを「接近戦」、中距離〜遠距離にあてたものを「距離戦」と呼ぶ。LEVEL_05で解説した内容(バクステスカ、2Kシステム)が「接近戦」のテクニックに当たり、本項LEVEL_06はもう一方の「距離戦」のセオリーを解説していく。

距離戦の三すくみ

 距離戦の立ち回りは三すくみのジャンケン、グーはチョキに勝ちパーに負ける、パーはグーに勝ちチョキに負ける、というアレにたとえられる。ジャンケンのグー・チョキ・パーに当たるのが『攻め・二択』、『牽制・置き』、『様子見・スカ』の三つの概念になる。

攻め・二択


 遠距離で使われるジャンケンで、一番理解しやすいのが『攻め・二択』の概念。
 例、ミツルギが遠距離から接近して、天神楽(RUN中BB/中)と稲穂田楽(k-A+B+K/下中中)で二択。

牽制・置き


 『攻め・二択』のためにダッシュで接近してくる相手をカウンターで迎撃するのが『牽制・置き』の概念。相手の接近に合わせて『牽制』で技を『置いて』おく。択によるガードの揺さぶりを拒否できる。
 例、ミツルギが接近してくる。ピュラはミツルギの進路上にクイックストライク(B+K/中)を置く。ミツルギは攻撃を当てる前にカウンターをくらって吹っ飛ばされる。

様子見・スカ


 様子見することで『牽制・置き』の技を空振らせて、無防備になったところにスカし反撃するのが『様子見・スカ』の概念。
 例、ミツルギは攻める……と見せかけて、中距離で横RUNしてウロウロ。ピュラはうっかりクイックストライク(B+K/中)を置く。クイックストライクの空振り硬直に、天神楽( or RUN中BB/中中)を叩き込む。
 『様子見・スカ』の行動は、攻撃をしていない=相手にダメージを与えられない。様子見しているだけだと「攻め」られてダメージを負ってしまう。

三すくみのジャンケン


攻め・二択 ○ − × 様子見・スカ
様子見・スカ ○ − × 牽制・置き
牽制・置き ○ − × 攻め・二択

 遠距離では、この三すくみの関係を意識する。相手の行動に勝つ選択肢を選んでいこう。
 また、ピュラは攻め・二択、ラファエルは様子見・スカ、という具合に、キャラによってそれぞれ得意な戦い方がある。攻撃は自キャラの得意分野を中心に組み立てると良いし、防御は相手の得意技の逆をついていく。

見える下段と攻め・二択


 「攻め」の基本は、中段技と、中段技の対になる投げや下段等の崩し技で、「二択」をかけていくことである。
 さて、ミツルギには投げとK以外にも下段技を持っている。たとえば脛旋(A/下)。開幕(遠距離)の間合いからも攻撃が届くリーチの長い技ではあるが――二択には使えない。というのも、Aは発生が34Fと遅く、見てガードが間に合ってしまう
 3D対戦格闘ゲームにおいて、技のモーションを見極めて、中下ガードの対応にかかるまでの反応時間は、およそ発生24〜26Fあたりが閾値になる。相手の攻撃に対して意識が集中できているという前提条件において、この発生帯の技、またはそれより遅い技であれば、確実に立ちガードと下段ガードを使い分けられる、と考えよう。また、24F未満でも反応が間に合うプレイヤーは、天性の素質があるか、よほどその技のモーションに慣れており、逆に27F以上のモーションにも対応が間に合わないプレイヤーは、反応がにぶいか技モーションに不慣れで反応できていないと考えられる。
 オンライン環境のラグの影響は多少あるが、ソウルキャリバー5の対戦も、このセオリーを前提に組み立てられるので覚えておいてほしい。

 「攻める」――二択をかけるとは、要するに「相手が見て反応でガードできない崩し技が届く間合いまで距離を詰めて仕掛ける」行動だということ。そして、そんな見えない崩し技のリーチは基本的に短いため、攻めるためには接近戦の間合いまで近づく必要がある。
 たとえばミツルギの二択。遠距離から接近して、中段は発生20Fの天神楽(RUN中BB/中)。崩しは発生17FのBE・稲穂田楽(k-A+B+Kヒット時B/下中中)で二択をかけている。

牽制・置き


 先制して攻撃を加えることで「攻め」を妨害する行動を「牽制」と呼ぶ。先手をとって技を置いておく行為を「置き」と呼ぶ。相手までの距離と、攻める気配をうかがって的確な牽制を施すことで、相手の二択を拒否することができる。
 写真はラファエルの代表的な牽制技、ドレッドバレル(B/中)。超ロングリーチを活用して、相手が直線移動に入ったところをドレッドバレルで狙撃する。いわゆる空気ドレッドと呼ばれるテクニックによる「牽制」。

 牽制と置きは、ある程度使い分けを意識する必要がある。牽制なら「先に触る」。攻められるより先にこちらで触ってしまおう、相手の対応を探るために突っついてみようというもの。リーチの長い技や発生の早い技で、相手をつついて事故らせる。現在位置から相手に届くなら、その場から。届かないなら、踏み込んで先端で。

 置きは「相手の進路上に置く」、いわばつっかえ棒のような打ち方。近寄ろうと移動している間はガードを解いているので、そこに攻撃を当てる。うまく直線状に相手を置いて、カウンターを当てよう。
 ポピュラーなところで、全キャラのBがだいたいこの用途に向いている。
 相手が何かしようと動き始めてガードを解いていたなら、攻撃がヒットする。相手より先んずることを意識しよう。

 牽制に使う技は、リーチと発生に正比例の関係がある。リーチが長ければ、それだけ距離が離れていても先に仕掛けることができる。
 写真はシバの捻刺棍(B/中)。発生26Fと遅いが、リーチが長い。写真の矢印分の距離を相手が走り込んでくるところにつっかえ棒を置ければ、牽制が成立する。

 一方、発生が早ければ、相手に接近を許しても、とっさのカウンターで相手の攻めを拒否できる。
 写真はナイトメアのジェイドクラッカー(K/上)。発生14F、カウンターでコンボ始動なので、成功すればかなりのリターン。

 リターンとリスクの関係にも注目しよう。リターンの高い技で牽制すれば、少ない手数で効果的な成果をあげられる。ガード硬直が大きい技をチョイスした場合は、必中を心掛けた、狙いすました牽制が必要になる。
 写真左はピュラのクイックストライク(B+K/中)、右はミザリーヘブン(B/中)。どちらも発生17Fで、リーチはほぼ同じ。ただしクイックストライク(B+K/中)はガード硬直−12F、ガードされてもほとんど確定反撃を受けない。空振りせずに確実に相手に押し付けられるならこっちが有効。一方、ミザリーヘブン(B/中)はコンボ始動でリターンが大きいが、ガード硬直は−16F。キャラ相性によっては手痛い確定反撃をもらうので、安易には使えない。
 

TRIAL:牽制・置きの実践

 以下、各キャラの使いやすい置き技をチョイスした。とりあえず発生とリーチ、それぞれの観点から抽出してみたので、備考を参考に使い方を把握しよう。
 ただ、ここに挙げていなくとも、ほとんどの技は工夫次第で牽制・置きの用途で活用可能だったりする。慣れたら、自分なりに他の技が牽制で使えないか、理屈をこねて開発してみよう。

キャラクタ コマンド/判定 備考
アイオーン A/上上 発生13F。一段止めで攪乱可能。
B+K/中 リーチが長く、ガードされてOK。発生に潜りあり。
アルゴル B/中中 発生15F、このフレームでリーチが長い。一段止めで攪乱可能。
B/中 リーチが長く、カウンターでコンボ始動。ガードされても確定反撃を受けにくい。
αパトロクロス A/特下 発生が早く、他キャラのAに比べてリーチが長い。ヒットでCEがコンボ。
or RUN中B/中 キャラ特性でクイックムーブ性能が高く相性が良い。しゃがみステータスあり。
アスタロス B/中 カウンターからのリターンが大きい。
A/上 リーチが長くガード硬直が小さい。
or or RUN中K/中 リーチが長く、ゴリ押しできる。
セルバンテス a-B/上中 発生11Fでリターンが大きく、先端ガードで反撃できないキャラ多数。
置きにも牽制にも使える。
B/中 確定反撃があってもリターンが破格に大きい。
ダンピエール B/中 リーチと発生が比較的マシ。
B/中中中 強力なコンボ始動だが、ガードされても微不利で済む。
デビル仁流派 A(B)/上上 発生10F。二段目まで入力してヒット確認で出し切り。
or or RUN中B/中 ひたすら押す。
エツィオ B/中 カウンターで打撃投げ。
B+K/上 上段だがリーチ無限。
ヒルダ RUN中K/中 ガード−12Fだがほぼ反撃がなく、ヒルダ得意の間合い。
A溜め解放LV1〜2/中 確定反撃のない中段横斬り。
アイヴィー B/中 軸ずらし&しゃがみステータス
B/中中 軸ずらし
レイシャ B/中中 一段止めで攪乱可能。
B+K/中 しゃがみステータス
マキシ B/中
B〜天枢/中 ガード時はGで構え解除
ミツルギ B/中中 一段止めで攪乱可能。
B+K/中 ガード硬直が大きいが、先端で安全。
ナツ A(B)/上上 カウンターで出し切り。
A+B/中
ナイトメア K/上 カウンターでコンボ始動
しゃがみ中B/中 ガード硬直が大きいが、先端で安全。
パトロクロス B/中
RUN中B/中 とっさには使いづらい。
ピュラ B/中中 一段止めで攪乱可能。
B+K/中 ピュラの技の中でリーチが長い。
ピュラΩ B/中中 一段止めで攪乱可能。
RUN中B/中
ラファエル B(B)/上上 カウンターで出し切り or BE。
B/中 超ロングリーチ。
ジークフリート b/中
BH〜チーフホールド/中 ハイリスク。
ティラ A/上上 一段止めで攪乱
B/中 確定反撃があるので、集中して。
ヴィオラ B/中
IO中B+K/上
ヴォルド B(B)/中 ヒット確認可能。
背向け中K/中 しゃがみステータス
シバ B/中 カウンターでコンボ始動
B/中 しゃがみステータス
ヨシミツ a-B/特下 超発生。
B/中 リターンは小さいが優秀。
ツヴァイ A+B/中 先端で確定反撃されにくくなる。
B+K/中 モーションで前進しないため、スカを受けにくい。

 Quick BattleのCPU相手に牽制・置きを練習する場合、ピュラ流派やパトロクロス流派などの武器リーチの短いキャラをCPUに選んで修練を積もう。
 前後左右のステップ〜ガードを繰り返して間合いを取り、相手の動きを観察しながら牽制を行う。バックステップならつっかえ棒、ステップインなら突っつき棒を意識しつつ、置き技のリーチに慣れよう。

 CPUは、「崩しの成立する二択の間合いまで近づいて攻撃」ではなく、「攻撃の届く間合いまで近づいてとりあえず殴る」という、牽制のルーチンで動いていることが多い。その場合、前進に注目していても無意味になる。届く技を振ってくるため、リーチの短い技での迎撃が難しくなる。

 リーチの長い技は基本的に縦斬り攻撃なので、様子見にサイドステップをまぜることでかわしやすくなる。

 対人戦もこなそう。CPUには人間味がないため、かえって読みにくいところがある。人間特有の手癖やリズムをよく観察し、タイミングを盗んで置き技をねじ込んでいこう。

スカ・様子見


 牽制目的の置き技を相手に出させて、空振りの隙に攻撃を当てよう。空振りを誘うための移動を様子見、空振りの隙に叩き込む攻撃をスカ確定と呼ぶ。

全体硬直とスカの反応時間


 スカ確定に使う技を、とりあえず発生17Fと仮定する。相手が攻撃を空振りしたとき、相手の技モーションの全体時間=全体硬直が終わる前に、こちらのスカ確定が間に合えばスカが成立する。
 『見える下段と攻め・二択』で、見える下段の発生はおよそ24〜26Fと説明した。スカにもこの数字が関わってくる。だいたいこの24〜26Fの時間で、相手が何の技を振ったか、その技が空振りするかどうかも判断できる。

・24〜26Fで相手の空振りを判断。
・17Fのスカ確定

 つまり、相手の技の全体硬直が24〜26F+17F=41〜43F以上であれば、こちらのスカ確定を当てることができる。

 これを踏まえて。写真は、パトロクロスのアンダースパークル(B/中)=全体硬直42Fに対してスカを入れる場合。ミツルギのメインのスカ技・天神楽(1)( or RUN中B/中)。発生は20Fなので、24〜26F+20F=44〜46F、アンダースパークルにスカを入れるのは理屈から難しいことがわかる。

 スカで使う技は二種類用意する。ひとつは縦用のスカ技。まず、バックステップ〜ガードの様子見を行う。相手が目測を誤って届かない技を出して空振りした状況から当てる。チョイスする技にはある程度のリーチも必要。
 写真はミツルギの弾割り(B/中中)。
 ちなみに、サイドステップ〜ガードから使っても良い。

 もうひとつは、RUN用のスカ技。サイドランの様子見で縦斬りの空振りを待って出す。様子見は基本 or RUNで行うが、スカに使う技は or 入力に限らず、 or RUN中技や、 or RUN中技も候補に含めよう。 or RUN中であっても、入力の瞬間に入力を行えば()、スムーズにその入力のRUN技を出すことができる。
 写真は再びミツルギの天神楽(1)( or RUN中B/中)。

TRIAL:スカ・様子見の実践

 以下、各キャラの使いやすいスカ確定技をチョイスした。縦用とRUN用でそれぞれチョイスされている。ちなみにセルバンテス、ピュラΩなどの一部のキャラは、ランからの技が使いにくいため、常にステップからスカをとった方が効率が良かったりする。

キャラクタ コマンド/判定 備考
アイオーン B/中 リーチではBBの方が優秀。
or RUN中AB/中中 ヒット確認可能。
リーチでは or RUN中A、ダメージでは or RUN中Bが優秀。
アルゴル A/中中
or RUN中BB/中中 or RUN中b-A+B+KBで火力アップ。
αパトロクロス b-A/中
or RUN中B/中
アスタロス B/中 発生が遅く使いづらい。Bの方がいい?
or or RUN中K/中 意外に or RUN中B(BE)が有効。
セルバンテス B/中 とっさにはa-B。理想はBジャスト。
or RUN中B/中 基本的にRUNからスカは狙わない。
ダンピエール A+B/中×3
or RUN中B/中
デビル仁流派 B+K/中中
or RUN中B/中
エツィオ B/中 発生は遅いがA+Bで火力アップ。
or RUN中BB/中中
ヒルダ B溜め解放/中
or RUN中B/中中 発生が遅い。
ほかはB溜め解放、A溜め解放、 or RUN中AAなど。
アイヴィー Bホールド/中中
or RUN中Bホールド/中 追加入力が必要。
レイシャ B/中 キャラの特徴としてリーチが短いため、しゃがみB等の工夫が必要。
or RUN中B/中
マキシ a+b-A+B+K〜禄存/中 BE版はリーチがのびるため、ノーマル版と違ってこの用途に使用できる。
ゲージ節約の場合はB、B+K
or RUN中B/中×4
ミツルギ B/中中 RUN中も可能。
or RUN中B/中 不慣れなうちは or RUN中Bでも可。
ナツ B/中 A+Bだとリーチアップ
or RUN中B/中中
ナイトメア Bホールド〜DH/中 先端だと火力ダウン。
その場合はAが安定。
or RUN中Bホールド/中
パトロクロス B/中
or RUN中B/中
ピュラ B/中 ゲージなしではBの方が火力が上。
or RUN中BK/中-
ピュラΩ B/中 理想は
or RUN中B/中
ラファエル Bホールド〜PP/中 Bでリーチと火力アップ
or RUN中B/中 or RUN中KBでも可
ジークフリート Bホールド〜CH 安定は
or RUN中Bホールド〜CH/中 発生は遅いが or RUN中Bホールド〜CHも可。
JSティラ B/中
or RUN中AA/中中
GSティラ B/中
or RUN中B/中 or RUN中Aも可。
ヴィオラ B/中 IO時はA+B
or B/中中
ヴォルド B(B)/中 ヒット確認可能。
or RUN中B〜背向け/中
ヴォルド(背向け) 背向け中B/中,中×3
背向けRUN中BK/中中
シバ K/中上上
or B/中
ヨシミツ B/中中
or RUN中B/中
ツヴァイ A+B/中
or K/上 中段は or B(BE)

 スカ技と牽制技は同じ技になることも。意識して使い分けすること。
 ただしスカ技は必中を前提にするため、技チョイスの際、ガード硬直のリスクは考慮しない。
 間合いの取り方に注意。牽制は相手に届く位置、相手が前進してきた間合いに置く。スカの場合は、自分のスカが届くよりも一歩外くらいが有効。空振りの技モーションで前進した分を計算にいれるといい。
 リーチの短いキャラは、距離戦において縦スカが機能しにくい。リーチが短いため、せっかくスカしても返す技がないという事態に陥る。相手の牽制を横に避けてスカを打とう。
 
 CPU相手に練習する場合、Quick Battleを利用するなら、ピュラ流派やパトロクロス流派などの武器リーチの短いキャラを選んで修練を積もう。
 前後左右のステップ〜ガードを繰り返して間合いを取り、相手の動きを観察しながら牽制を行う。バックステップならつっかえ棒、ステップインなら突っつき棒を意識しつつ、置き技のリーチに慣れよう。

 CPUは、「崩しの成立する二択の間合いまで近づいて攻撃」ではなく、「攻撃の届く間合いまで近づいてとりあえず殴る」という、牽制のルーチンで動いていることが多い。
 その場合、CPUの前進に注目していても、気配を察して行動するというわけにはいかない。その場から届く技を振ってくるため、リーチの短い技での迎撃が難しくなる。

 リーチの長い技は基本的に縦斬り攻撃なので、様子見にサイドステップをまぜることでかわしやすくなる。

 対人戦もこなそう。CPUを相手にするよりは、かえって読みやすいかもしれない。人間には手癖やリズムがあるので、よく相手を観察し、呼吸を盗んで置き技をねじ込んでいこう。

距離戦の三すくみ

 ※牽制は攻め・二択の阻害だけでなく、相手の意図を阻害するために行う行動全般を指すが、とりあえず狭義の定義として「攻め・二択の阻害」  様子見・スカも攻めのスカもできるよ。

 接近戦での立ち回りは感覚的に理解できていることがほとんどなので後回し、先に『遠距離』の立ち回りから解説する。
 遠距離の立ち回りは『三すくみのジャンケン』、グーはチョキに勝ちパーに負ける、パーはグーに勝ちチョキに負ける、というアレにたとえられる。万年初心者、勝率が50%を満たないプレイヤーは、このジャンケンが身についていないことがほとんど。
 ジャンケンのグー・チョキ・パーに当たるのが『攻め・三択』、『牽制・置き』、『様子見・スカ』の三つの概念になる。

攻め・三択

 遠距離で使われるジャンケンで、一番理解しやすいのが『攻め・三択』の概念。
 「普通は二択じゃないの?」とツッコまれそうだが、キャリバーは中段、崩し(立ちガード崩し)の二択要素に加えて「縦斬りを横RUNで避けられる」という要素が濃いので、三択目の「対横」を強調している。

 例、ミツルギが遠距離から接近して、天神楽(RUN中BB/中)と稲穂田楽(k-A+B+K/下中中)で二択。

 横RUN(クイックムーブ)を見越して横斬り・空踏刈(RUN中A/上)。

牽制・置き

 『攻め・三択』のためにダッシュで接近してくる相手をカウンターで迎撃するのが『牽制・置き』の概念。相手の接近に合わせて『牽制』で技を『置いて』おく。択によるガードの揺さぶりを拒否できる。

 例、ミツルギが接近してくる。ピュラはミツルギの進路上にクイックストライク(B+K/中)を置く。ミツルギは攻撃を当てる前にカウンターをくらって吹っ飛ばされる。

様子見・スカ

 様子見することで『牽制・置き』の技を空振らせて、無防備になったところにスカし反撃するのが『様子見・スカ』の概念。

 例、ミツルギは攻める……と見せかけて、中距離で横RUNしてウロウロ。ピュラはうっかりクイックストライク(B+K/中)を置く。クイックストライクの空振り硬直に、天神楽( or RUN中BB/中中)を叩き込む。
 『様子見・スカ』の行動は、攻撃をしていない=相手にダメージを与えられない。様子見しているだけだと「攻め」られてダメージを負ってしまう。

三すくみのジャンケン


攻め・三択 ○ − × 様子見・スカ
様子見・スカ ○ − × 牽制・置き
牽制・置き ○ − × 攻め・三択

 遠距離では、この三すくみの関係を意識する。相手の行動に勝つ選択肢を選んでいこう。
 また、ピュラは攻め・三択、ラファエルは様子見・スカ、という具合に、キャラによってそれぞれ得意な戦い方がある。攻撃は自キャラの得意分野を中心に組み立てると良いし、防御は相手の得意技の逆をついていく。

LEVEL_09: 接近戦とセットプレイ

 接近戦は、ようするに攻撃をヒット or ガードしてフレームに優劣が発生した状況と言い換えることもできるわけで。解説の上ではセットプレイの応酬とくくってしまう。
 遠距離戦からヒット or ガードの状況も、連続的にこの「接近戦とセットプレイ」の状況になると認識しておこう。ただし、間合いは近くなっても三すくみは活きていることをお忘れなく。

ローキックからの攻防


 K系はヒットで−2F不利になる。軽量級のキャラはしゃがみ中Aが発生12Fのため、K(ヒット)>しゃがみ中Aの連係に対して、発生13F以内の中下段技を出さないとフレームで勝つことができない。
 手始めに発生13Fの中下段で返す癖をつけよう。
 発生13Fの中下段をもたない中〜重量級キャラはそれ以外の対処法、軽量級でもハイリターンが望める展開を考えてみよう。

クイックムーブで縦斬りを回避する


 ガード硬直−6F不利くらいからクイックムーブを入力しておけば、中段の縦斬りが回避できる。フレーム的には、中段縦斬りの発生が最速で14Fで、大体8Fくらいの猶予があれば回避できるみたい。
 慣れないうちはクイックムーブと or RUN中Bを、相手の縦斬りが回避できたかどうかを確認せずに出し切ってしまおう。これを「入れ込み」という。慣れたら、クイックムーブから、相手の空振りを確認してスカを入れたり、ガードしたりと細かな立ち回りを心掛ける。接近戦〜中距離における、横スカからのリターンを検討しよう。
 また、相手も同じことができるので、こちらがフレーム有利になった際は、きっちり対横を含めた三択で相手に反撃すること。

バックステップのタイミングを見極める


 接近戦が自キャラの得意間合いでない場合や、むしろ相手キャラの得意間合いである場合、接近戦のプレッシャーに耐えられない場合は、バックステップで間合いを離す……といきたいところだが、バックステップ中に攻撃をもらうとランカウンターが発生してしまう。BやB系は、それを見越してカウンターに特殊な効果が付加されていたりする。

 とりあえず、お互いの武器が先端ヒット or ガードする間合い=中距離になるまで待ってバックステップすることを心掛けよう。もちろん、これはあくまで定石であって、奇策に走るならどのタイミングでバックステップを出してもいい。

ヒット有利と投げ間合い


 攻撃をヒットさせたとき、投げ間合いになるかどうかに注目しよう。ポピュラーな連係はダウンしないA系>投げ、A>投げなど。この連係を覚えておくだけで、接近戦のセットプレイが桁違いに強くなる。知らない相手に投げは通りやすいが、何度か使うと連係を読まれるので、ちゃんと中段と二択にしよう。
 この項の冒頭で「遠距離戦からヒット or ガードの状況も、連続的にこの「接近戦とセットプレイ」の状況になる」と解説したが、Aヒット>投げの流れが、まさにそれである。

ガード中に投げ抜けを仕込む


 ガード中にAやBボタンを押してもA斬りやB斬りは発生しない。これを利用して、Gを押しながらAまたはBを連打することで、中段攻撃と投げ、両方に対応することができる。立ちガードで固まる際に必須のテクニックである。
 写真は、パトロクロスにA>投げの連係を決められたケース。投げ抜けが仕込んであったので、事無きを得る。

しゃがみスカ


 上段攻撃、特に投げをしゃがみでスカしたときに当てる技を選んでおこう。投げの空振り硬直は52F(パトロクロス、ダンピエール、エツィオは47F)なので、発生20Fくらいの遅い技でも理論上スカが可能。癖がついてないと咄嗟に技が出ないので、練習しておこう。スカに立ち途中攻撃を使う場合は苦労がないが、コマンド技等を使う場合は反復練習が必須になる。

暴れの傾向と対策

 基本的には、ヒット or ガード時にフレームが有利な側が攻撃のターンを得るのだが、不利側がそれを無視してアレコレすることを、暴れという。

 ■フレーム暴れ
 不利から発生の早い技を出す。基本は軽〜中量級キャラのA。Aで暴れるメリットは、上段回避効果があるため、相手の反撃に投げや上段対横されても拒否できる点にある。
 ナツやピュラ、セルバンテスや吉光など、Aよりも発生の早い技を持つキャラはそちらで暴れてもいい。
 一歩進んだフレーム暴れの考え方。例えばガード硬直−2Fの不利状態で、発生13Fの暴れを行う。このとき、相手は発生14F以内で反撃しないと割り込めない。発生14Fの攻撃と、投げ or 浮かせ技の二択、はたしてどちらのリスクが高いか? 相手反撃のフレームを制限することで、リスク回避を行うことができる。……まぁ、相手が14F以内の技を出して暴れがつぶされた場合、相手ターンが続くことになるのだが、暴れを一度見せておいて次回は暴れずガードすれば、ターンを取り返すことができるわけで。
 暴れ全般は、相手に暴れがあることを認識させて、相手の反応をコントロールする効果も重要である。

 ■スウェー技
 B、B系の技を使う。瞬間的にバックステップよりも下がるため、割り込めない連係の脱出にも使える。使われた場合は、クイックムーブ等でかわしてスカを入れるか、スウェーを追いかけることが可能なリーチの長い技で反撃しよう。

 ■軸ずらし技
 A系。……なのだが、基本的にマニュアル入力でクイックムーブを使った方がいい。よっぽどのメリットがあるのなら別。シバの麟掌(A/上)は軸ずらしにくわえてしゃがみステータスもあるため、拒否できる択が非常に多く強力。


 ■ジャンプ技
 下段と投げを拒否できる。下段のブレイクアタックやガード不能、連係の割り込みにも使える。被弾時は空中やられになるため、地上カウンターより安く済ませることができる後ろ向きのメリットもある。

 ■インパクト技
 不利フレームとインパクトの発生、相手の手癖を読む必要があるため決めにくい。成功すると爽快だけどね……。失敗した場合は隙が50F近くあるのでスカが確定する(一部例外あり)。

 ■最大リターンを取る
 暴れ技を、本当の意味で暴れて出すのではなく、読み勝って出している(相手の手癖が読めている)場合。技によっては、苦労の割りに大したリターンが得られないが、壁スタンやリングアウトを利用してリターンを増やせることがある。何度もやると相手に読まれていることが気付かれてしまうので、状況まで取っておき、ここぞという場面で出すのが賢い使い方。

 このLEVEL_09までの内容が身に付けば、初心者は卒業になる。ただ攻撃を振り回すのではなく、対戦相手と読み合いもできるようになったはず。勝率も五割に近づくのではなかろうか。対戦セオリーの内容も半分が消化された。
 LEVEL_10〜14は、自分のキャラをより上手く使いこなすための方法を掘り下げていく。