THEORIES:LEVEL_02

 レベル2では、キャリバー初心者を対象に、横移動のシステムを解説する。

横移動による縦斬り回避

 レベル0のセオリーでは、有利・不利を前提としたターンのやり取りを説明した。レベル2では、そのセオリーを破るポピュラーな行動について解説していく。

クイックムーブ


 まず最初に解説するのは「クイックムーブ」。クイックムーブは相手に対して側面に回りこむ軌道で発生する特殊移動。コマンドは〜または〜。
 次のようなシナリオで使用する。
  • ガードされても確定反撃がない技で相手を攻撃する。
  • ガードされた後、クイックムーブ(〜 or 〜)を先行入力する。
  • クイックムーブで相手の反撃の縦斬り・中段択を回避。
  • 相手の攻撃の空振りの隙に、 or RUN中から出せる技で攻撃する。
 相手の攻撃の空振り=スカにできた無防備な隙に確定的な反撃をくわえる行動を「スカ確定反撃」と呼ぶ。単に短くスカ確、スカと呼ばれることもある。このケースは横移動からスカを行うので「横スカ」と呼ばれる。
 クイックムーブから横スカを狙うと、どんなメリットがあるのか? たとえば相手の中段択をガードした場合、確定反撃でリターンを得ることになる。あるいは確定反撃が可能なほど相手に大きなガード硬直がなく、有利から二択をかけることになるが、二択が読まれて攻撃が防がれた場合は、リターンなしに終わってしまう。
 もしスカが成功すれば、なにしろノーガード状態の相手に攻撃するわけだから、確定反撃や二択以上の期待値になる可能性がある。

 シナリオではガードで負った不利からクイックムーブを行っているが、当然、相手側の攻撃ヒットによるフレーム不利状況からも可能。ただ、キャリバーのバグなのか、やられ状態で先行入力されたクイックムーブは、クイックムーブ特有の風のエフェクトが発生しないので注意。エフェクトはなくとも、ちゃんとクイックムーブは出ている。

サイドステップ


 縦斬りは、クイックムーブではなくとも、サイドステップ(☆ or ☆)でも回避可能。
 サイドステップで縦斬りを回避するメリットは、横スカからRUN技以外の選択が可能な点にある。たとえばセルバンテスの場合、横スカからはRUN技を当てるより、キャノンボールリフター(B/中)またはジオ・ダ・レイ・ピリオド(Bジャスト/中)始動のコンボを当てた方が、はるかに大きなリターンが得られる(クイックムーブ経由でもBやジオ・ダ・レイ・ピリオドは可能だが、短時間に煩雑な入力が必要となり面倒)。

 また、一部のキャラはクイックムーブの性能が悪く、ステップを使った方が回避成功が期待できる場合がある(該当キャラについては『サイドステップ/クイックムーブ1』の記事を参考)。
 デメリットは、相手側面への回りこみ角度がゆるく、基本的に回避性能がクイックムーブに劣る。また、ステップからコマンド技を入力すると、ラン技に化ける可能性がある(たとえばBと入力すると、RUN中Bに化ける)。

得意な移動方向


 ほとんどのキャラクタは、相手に対して半身(はんみ)で構える。左半身(はんみ)の構え(体の左側を相手に向けて相対する)であれば右手側が(はら)側、左手側が背中側、右半身(はんみ)の構え(体の右側を相手に向けて相対する)であれば左手側が腹側、右手側が背中側になる。
 キャラクタは、背中側よりも腹側への移動が得意な傾向にある。普通に考えても後ろ向きへの移動が苦手なのは当然だが、前傾姿勢となって相手の上段攻撃を潜る等、姿勢の恩恵も受ける場合がある。
 写真のエツィオの場合、左半身(はんみ)なので、右方向=反時計回りの移動を得意としている。

TRIAL:横移動を組み込んだ実戦

 Quick Battleにおいて、検索条件設定を相手の強さ:中級者に設定しよう。

 不利時にクイックムーブ(or サイドステップ)を仕込んで相手の縦斬りに横スカを狙おう。横スカから出す技は各キャラ、一覧にピックアップしている(コンボレシピは省略)が、これが最良のチョイスではないので注意。また、クイック移動の方向が片側になっているキャラは、クイックムーブの性能を考慮して良い方向のものを載せてある。2P側に回った際は入力が変わるので注意。
 なお、説明において「右クイックムーブ」、「左ステップ」と左右を表記しているが、これは画面上のキャラクタの向きに対する方向を指している(1P側における右は画面手前側、左は画面奥側)。

キャラクタ コマンド/判定 備考
アイオーン or 〜AB/中中 ヒット確認可。
アルゴル 〜B/中 左クイック以外は性能が悪いため、使いづらい。
αパトロクロス 〜B/中 左クイックの性能が全キャラ中トップクラス。
アスタロス or 〜AA/中中 二段目発生時に方向コマンド入力で技後の間合いを調整可能。
セルバンテス or 〜B/中
ダンピエール or 〜B/中
デビル仁流派 〜B 右ステップ以外が壊滅的なため、先行入力は右ステップ(☆)だけを行う。
スカが確認できてからデビルツイスター(RUN中B/中)を発生させる。
エツィオ 〜B/中中 右クイックが高性能。
ヒルダ or 〜B/中
アイヴィー or 〜BH/中
レイシャ or 〜B/中
マキシ or 〜B/中×4
ミツルギ or 〜B/中
ナツ or 〜B/中中
ナイトメア 〜B/中 ルークスプリッター( or RUN中B/中)は時計回りに軸をずらしながら発生する。
あらかじめ左クイックムーブで移動を足して効果を高めよう。
パトロクロス or 〜B/上
ピュラ or 〜K/上
ピュラΩ or 〜B/上
ラファエル or 〜B/中
ジークフリート or A/中
JSティラ 〜B/中中 JSティラは右ステップ、GSティラは左右ステップが優秀。
逆にクイックムーブは壊滅的。
先行入力でステップを入力しておき、確認後に追加入力でラン技を出す。
GSティラ 〜A
または〜A/中
ヴィオラ オーブ所持:
  or 〜A+B
オーブ設置:
  or 〜B/中
ヴォルド or 〜B/中
背向け中
  or 〜B/中
シバ 〜B/中 右移動が得意。
ヨシミツ or 〜B/中
ツヴァイ 〜K/上 左ステップ以外が壊滅的なため、先行入力は左ステップ(☆)だけを行う。
スカが確認できてからスピニングフックキック(RUN中K/上)を出す。

斜め入力のクイックムーブ

 一部キャラは or 〜ではなく、〜や〜など、斜めクイックムーブの技を推奨している。ただし斜め方向×2コマンドの入力はゲームコントローラの内部構造上失敗しやすい。
 詳しく解説すると、大抵のゲームコントローラは、方向スイッチが上下左右の4方向しかなく、の入力はの入力はなど、2つのスイッチの同時入力で認識している。ので、と入力した場合、綺麗にと入力されるのはまれで、だとか、といった入力に化けやすい。
 RUN技の入力は、RUN中に出したい技の方向コマンドが入力されていれば成立する。たとえば、RUN中、ニュートラルに戻さずにBと入力すれば(B)RUN中Bが出る。
 の入力でクイックムーブが不安定な場合は、たとえばという具合に、クイックムーブは or の入力で行い、技を入力する瞬間にと出したいRUN技の方向コマンドを入れよう。

先行入力の注意点


 クイックムーブは先行入力で行うが、先行入力後、方向コマンドを入れっぱなしにしておくこと or 、あるいは☆ or ☆といった具合にニュートラルに戻してしまうではなく、しっかりと〜 or 〜と延ばし入力しよう。
 というのも、延ばさずに入力してしまうと、本来の回避性能を発揮せずに、移動を中断してしまう。当人はちゃんとやっているつもりでも、うっかり手癖でこれをやってしまうケースがあるのだ。しっかりと目視でクイックムーブの効果を確認しよう。
 写真左は先行入力後に方向コマンドをいれっぱなしにしなかった場合。横移動はしているが、つかまってしまっている。写真右は、同じ状況で方向コマンドを入れっぱなしにした場合。クイックムーブをあらわす風を切るのエフェクトが発生し、回避に成功している。

 デビル仁流派、ティラ、ツヴァイはクイックムーブの性能が壊滅的なため、サイドステップを先行入力しておき、サイドステップが発生したのを確認してから方向コマンドを入れっぱなしにして、サイドステップ〜ランの接続を行う。
 写真の場合、硬直中に☆を先行入力(写真一枚目)、サイドステップの発生を確認して〜(二枚目)、相手の空振りを確認してRUN中B(三枚目)というあんばい。

CPU戦におけるシナリオ

 不利に横移動を仕込むのだが、相手攻撃をもらって不利になってから……というシナリオは再現が難しいので、こちらから確定反撃のない小技でさわり、ガードさせて不利になってから……というシナリオで横スカの練習をしよう。

 CPUによっては、写真のようにガードを行わず、いつまでもターンを取ってくれない場合もある。

 その場合は、当てて不利になるK(K)を起点にしよう。

 横斬り属性で反撃するルーチンを持っているCPUが相手の時は、横移動をひかえよう。それはそれで、相手を見極めて横移動をガマンするという練習になる。

入れ込みとスカ確認


 横移動から出す技に、ガードされても確定反撃のない技をチョイスしている場合は、相手の空振りを確認せずに出し切ってしまう「入れ込み」という行動が可能になる。横移動からの行動を手に馴染ませるべく、可能なキャラはゴリゴリと入れ込みを行おう。

 あまり入れ込みにたよりすぎると、将来的には手癖を読まれる危険な悪手になる点に注意。慣れてきたら、しっかりと確認から横スカをきめていこう。

 相手が動いていない場合は二択に切り替えてみよう。横移動で相手の側面に回り込めば、ダメージが通常投げよりも強力な側面投げを狙うチャンスになる。

横移動をとがめる

横斬りでとがめる


 クイックムーブやサイドステップからの横スカ狙いの動きへの対抗策になるのが、主にAボタンコマンドで発生する「横斬り属性」の攻撃。
 横斬り技は上段判定のものが多く、立ちガードには防がれ、しゃがみガードにはスカされてしまう。ので、相手の横移動を読んで振りたい。中段の横斬り技があれば、横斬りと中段択を兼ねるので重宝する。

サイドランカウンター


 ソウルキャリバーでは、サイドラン(クイックムーブ、サイドステップを含める)の出始め20Fはガードができない無防備の状態になる。また、サイドランに横斬り属性攻撃を当てると、サイドランカウンター扱いになる。
 横斬り属性の技には、カウンター条件を満たすとコンボ始動となったり、続く連係が連続ヒットになるなど、リターンの増加が見込めるものが少なくない。相手の横移動が読めたら、ランカウンターによる効果の高い横斬りを振っていこう。
 写真はミツルギの踏拝(b-A/中)。ノーマルヒット時(写真1枚目)は当てて−10F不利だが、カウンターヒット時(写真2〜4枚目)は打撃投げ(ヒットから投げのような演出に切り替わる)が追加され、相手はダウンする。

横斬り以外でとがめる


 投げは判定に厚みがあり、基本的に横移動で避けた先にも届く。投げ間合いでの二択であれば、投げで崩しと横移動対策を兼ねることができる。ただし投げは横斬りに比べてリーチが短いという欠点があるので注意。

 K技でも技の内部情報で横斬り属性が付加されたものなら、相手の横移動に対して有効。基本のK系の技にも、横斬り属性が付加されたものが少なくない(アイオーンしゃがみK、アルゴル、αパトロクロスK、ダンピエール、デビル仁流派しゃがみK、パトロクロス、ティラ、ヴォルド、ツヴァイは除く)。写真、マキシのKは横斬り属性を持つため、下段と対横を兼ねた選択肢になる。
 また、K技全般は武器攻撃よりも攻撃判定に厚みがあるため、横斬り属性がなくとも相手の横移動に当たりやすい特性がある。

 縦斬りも、武器の軌跡が袈裟斬り軌道のものであれば、相手の横移動をひっかけることができる。写真はミツルギの空囃子(B/中)で反撃したもので、相手の左クイックムーブには無力だが、右クイックムーブはひっかけている。
 避ける側も、相手の技を予想して右移動と左移動を使い分ける工夫が必要。

 また、クイックムーブやサイドステップの効果が発揮される前に攻撃が間に合えば、縦斬りでも横移動をとがめることができる。
 写真はαパトロクロスのフォームレス:アマツ・ウリエル( or RUN中B/中)に反撃したもの。アマツ・ウリエルのガード硬直は−11F。ミツルギの反撃、発生15Fの拝摺(1)(B/中)は空振りしているが、発生14Fの空囃子(B/中)はαパトロクロスのクイックムーブをとらえている(ただし縦斬りなのでサイドランカウンターは発生していない)。

TIPS:横斬り属性を調べる


 技に横斬り属性が含まれるかどうかは、シバの準拝師(B+K/特殊)を使って調べられる。準拝師は上中下段判定の横斬り属性に対してガードインパクト効果が発動される。K技やA+B同時押しなどで、A斬り以外で横斬り属性を持つかどうかは、準拝師のインパクトが働くかどうかで判断しよう。
 ガードインパクトについては後述。

TRIAL:対横の導入


 Quick Battleにおいて、CPUのパラメータにある「攻撃性/接近戦/インパクト/横移動」の「横移動」が高い相手を選んで対戦。対戦中に横移動するポイントを見極め、的確に横斬りを振って倒そう。
 基本データやコンボレシピ、サイドランカウンターも考慮した上で、ダメージの高い横斬り、使いやすい横斬りを選んでみよう。
 接近してからの投げでも対横が可能だが、投げはしゃがまれたり抜けられたりで案外期待値が低い。横斬りのリーチを活かした間合い作りを身に付けた方が、後々の成長につながる。

 以下に、各キャラの使いやすい横斬り技をピックアップしている。他にも横斬り技はあるが、とりあえずここから使い勝手に慣れていこう。

キャラクタ コマンド/判定 備考
アイオーン A/上
RUN中A/中
モーションがコンパクトで隙がない。
アイオーンの代名詞的な、強力な技。
アルゴル B/上上中
B/上中
カウンター確認可
ヒット確認可
αパトロクロス A/特下
RUN中A/上
ゲージ依存でコンボ始動。
しゃがみステータスあり。
アスタロス A/上 リーチが長くガード硬直−1F&カウンターでコンボ始動。
セルバンテス A/上
A+B/中中
モーションがコンパクトで隙がない。
当てるとリターンが大きい。
ダンピエール A/上 カウンターでコンボ始動。
デビル仁流派 B/中中中
RUN中A/上
カウンターでコンボ始動。
コンボ始動。
エツィオ B/上中中
RUN中AB/中上
カウンター確認可。
カウンター確認可。
ヒルダ A溜め解放/中
アイヴィー A/上
Aホールド
カウンターでコンボ始動。
レイシャ B/上上中
RUN中AA/上中
カウンター確認可。
一段止め等で撹乱。
マキシ A〜天枢〜AK/上上中
RUN中A/上
カウンター確認可。
使いやすい。
ミツルギ A/上
A/上
A/中
コンパクトで隙がない。
リーチが広い。
単価が高い。
ナツ B/上上,中×3
RUN中AB/上中
カウンター確認可。
カウンター確認可。
ナイトメア a-g-A/上
K/中
単価が高い。
発生が早い。
パトロクロス A/中
RUN中A/中
しゃがみステータスあり、リーチが長い。
発生は遅いが中段。
ピュラ A/上上
RUN中A/中
発生が早い。
中段+しゃがみステータス+ヒットで背面取り。
ピュラΩ A/上上
A/上
発生が早い。
カウンターでコンボ始動。
ラファエル K/下
A/上上
他キャラよりリーチが長く使いやすい。
ダメージは低いが間合い管理に使える。
ジークフリート a-g-A/上
A/中
単価が高い。
コンボ始動。
JSティラ RUN中AA/中中 しゃがみステータス
GSティラ A/上上
A/上
A/中中上
発生が早い。
リーチが長い。
中段択として発生が早く、ヒット確認可。
ヴィオラ オーブ設置時
B/上上上
RUN中Ab-A+B+K/中中,特中×3
 
ヒット確認可。
ヒット確認可。
ヴォルド A/上中中
or RUN中A/中
背向け立ち途中A/中
カウンター確認可。
長リーチ&しゃがみステータス。
カウンターでコンボ始動。
シバ K/上上中
K/上中
カウンター確認可。
カウンターでコンボ始動。
ヨシミツ B/中中 カウンター確認可。
ツヴァイ A/上
A/上
カウンターでコンボ始動。
しゃがみステータス。

カウンター確認


 上記備考で「カウンター確認可」とコメントがあるものは、2段技なら1段目、3段技なら2段目までを入力しておき、1段目がカウンターヒットしたときだけ最後の入力を行うという見極めが可能。
 たとえばナツの死火熾(AB/上上,中×3)の場合、コマンドのAAまで先行入力しておき(写真1枚目)、二段目がヒットするまでにカウンターを確認して(写真2〜3枚目)、最後のコマンド(B)を追加入力する。写真2枚目、カウンターヒットするとヒットエフェクトが青くなるのが見極めのポイント。
 カウンター確認(ヒット確認)については、後の方で詳しく説明する。