THEORIES:LEVEL_05
これまでに解説してきた、レベル0〜4まではキャリバー初心者向けの内容。レベル5からは脱・初心者、中級者になるための内容になる。
まず、3D格闘ゲームにおける定石で、戦術のキーとなるスカ確定のテクニックと、接近戦のセオリーを身に付けよう。
初心者向けの講座において、ヒットで有利 or 不利、ガードで有利 or 不利のターンのやり取りにおけるフレームを解説した。中級者では、そこに距離・間合いの概念が入ってくる。特に重要なのは、スカ確定のための空間と時間の体感を身に付けること。

理屈は後回しにして、次のシナリオに取り組んでみよう。
- トレーニングモードのコマンドレコードで、CPUに「(ステップイン)
K > しゃがみA > 立ちガード」を記憶させる。
- レコード再生して、CPUの
Kヒットから、こちらはバックステップ(
☆)を行う。
- バックステップに対してCPUがしゃがみAを空振りした隙に攻撃を叩き込む。
写真では、パトロ

K>しゃがみAの連係に対して、ピュラは

K被弾からバックステップでしゃがみAをスカし、空振りの隙に

Bを当てている。
しゃがみA(

A)のモーションは、始まりから終わりまで約40F(2/3秒)のアニメーションを行う。この刹那の瞬間に、空振りを確認して攻撃を叩き込む技術、バックステップ〜スカ確定、略してバクステスカが中級者から必須になってくる。ちなみに、この始まりから終わりまでの技モーションにかかるフレームは、全体硬直と呼ばれる。
しゃがみA(

A)は、キャリバーの中でも隙が小さい技なので、慣れないうちはレコードのガードが間に合ってしまうこともあるだろう。その場合は、しゃがみAよりも全体硬直が6Fほど多い、しゃがみK(

K)の方で練習すると良い(

K > しゃがみKの連係)。ただし「しゃがみAの空振りにスカを入れられる」ことが必須スキルなので、妥協しないこと。コツは「バックステップ中に相手が動いているのが見えたら、スカ技を入れ込む」。空振りした技が完全にしゃがみAだと見切って行動を起こすと間に合わないので注意。ある程度、勘に頼ることになる。

次のシナリオでも演習しておこう。
- トレーニングモードでCPUに、行動設定1:立ち > すべてガード、行動設定2:攻撃 >
Aを設定。
- 比較的ガード硬直の軽い技(B一段止め等)をガードさせて、バックステップ。
- バックステップに対してCPUが
Aを空振りした隙に攻撃を叩き込む。
こちらからさわりにいって、

Aで反撃してきたところをバックステップでスカす。こちらの方も、慣れないうちは

Aではなく

Kから始めると良い。
「表示が変わったらボタンを押す」という単純なルールの反射神経テストを行うと、結果はだいたい平均0.2秒=12Fぐらいになる。

Aの全体硬直は38Fあるので、
- バックステップ中に相手を観察する
- 相手が動いた!
- スカ技を入力する
フレーム | 1〜11 | 12 | 13〜37 | 38 | 39 |
空振り | 硬直(38F) | |
スカ | バックステップ | 入力 | 発生(26F) | ヒット | |
このタイムラインを表におこすと、左図のようになる。相手が動き始めて12F遅れて反応、スカ技を入力することになるので、理論上、発生26Fあたりまでがスカ確定技の発生限界になる。
ちなみに、相手が何の技を出しているかをじっくり観察した場合、だいたい24Fほど時間をかければ判別可能になる(発生24Fくらいからの技であれば、中段・下段を見きわめてガードを使い分けることができる)。しかしそんなに悠長に動きを観察していると、

Aスカに間に合う対応技がほぼなくなってしまうので、あまり現実的ではない。
ただし、

Aスカを諦めるなら、ほとんどの技は

Aよりも全体硬直が大きいため、発生26Fより遅くてもスカに使えることを一応覚えておこう。
前項で「発生26Fあたりまでがスカ確定技の発生限界」と結論づけたが、これには
コマンド入力にかかる時間という観点が抜けている。
コマンド1つの入力は、ストロークという単位でカウントされる。



Bコマンドの技は、

、

、

Bの3ストローク。


Bコマンドの技は、間のニュートラルコマンドも1ストロークとして数えるため、

、☆、

Bでやはり3ストロークの入力になる。
ソウルキャリバー5は60fps(1秒を60分割した処理)で動いており、コマンドを1つ認識するのに、最低1Fが必要となっている。もし1Fに2つ以上のコマンドが入力されても、そのうちの1つしか認識されない。
理論上、3ストロークの技は3F消費で入力可能だが、実際はその通りにはならない。たとえば

Bであっても、方向コマンド

とボタンコマンドのB、左右の手による入力タイミングを合わせる必要があるため、方向コマンドなしのBよりも数フレーム遅れる可能性が出てくる(最悪5F)。当然、



Bコマンドであれば、

や

のストロークに2F以上を費やす可能性もあるし、


Bコマンドであれば、☆

Bコマンドあたりでロスが発生する(7〜10F)。方向コマンドなしで攻撃ボタンのみ入力の技は、発生が遅くとも当てやすかったりする。

以上を踏まえると、たとえば発生20Fのコマンド


B技をスカに使う場合、入力を始めても、実際の発生は20F+入力によるフレームロスがあるため、限界とされる26Fに納まるかどうかあやしくなってくる。単純な発生の数値では理論通りにいかないことを考慮しておこう(ちなみに「バクステスカの技チョイス」では、この理由から


入力技の一部を候補から外してある)。

「暴れ」の項で既に解説したが、フレーム微不利から発生の早い技を出すことで、相手の太い択を拒否することができる。このセオリーにのっとった、もっともポピュラーなセットプレイが、「

K(

K)ヒット微不利からのしゃがみA暴れ」である。

K系はヒットで−2F不利。標準キャラのしゃがみAは発生12F。この連係に割り込もうとするなら、発生13F以内の技を出さなければならない。発生13F以内の技は限られるので、このセットプレイの仕組みに気づかない場合は、割り込めずにハメられてしまう。

これに、先ほどのバクステスカの要素を加えて発展させてみよう。
たとえば、発生13F以内の技で割り込んできた場合。そういった技はリーチが短いため、バックステップでスカすことができる。

やられる側は、この

K > しゃがみA連係に、発生の早い技以外でも、バクステスカで対抗することができる。

……のを逆手にとって、

Kヒットから暴れずに様子見。相手がしゃがみA読みでバクステした場合、せっかく得たターンを手放させることができる。

K > しゃがみAの組み合わせに限らず、微不利から発生の早い技で暴れることを基本に組み立てる立ち回りは、この連係のもっともポピュラーな起点技にちなんで2Kシステム(※)と呼ばれている。
※ネットにおける、方向コマンドの入力をテンキー配列に見立てたコマンド表記による。
789



456

☆

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K=2K。

暴れに使う技もしゃがみAに限らない。たとえばナツはA発生が10Fなので、微不利状態から積極的にA

A連係で暴れるのが定石。

相手のバクステを1点読みしてダメージを与える選択を、バクステ狩りと呼ぶ。
ソウルキャリバー5は、前以外の方向に対してのステップやクイックムーブ、ランを行うと、直後20Fの間、ガードができなくなるというゲームシステムになっている(アップデート適用後)。
基本はこちら側有利で相手のバックステップを咎める。発生20+有利フレーム、発生20Fを少しオーバーした技でもこの用途でチョイスできる。写真はパトロクロスのストライクジャスティス(


B/中)、発生21F。

移動中に対しての攻撃ヒットはランカウンターとして扱われ、ダメージアップに加えて、通常ではつながらない技もコンボ始動になる。2Kシステムは強力だが、バクステを読んでバクステ狩りを通せば、大ダメージが期待できる。
写真はレイシャの進彩楽(


B

B/中中)、カウンターで連続ヒットする。レイシャは火力が泣き所なのだが、この技を通せばノーゲージで64点、1ゲージで101点と高ダメージが期待できる。

相手キャラのリーチに注意。ヒルダやセルバンテス、ラファエルなどの武器リーチの長いキャラは、ガードバック(ヒットバック)で開く間合いが大きく、バクステを行ったときの距離も離れがち。武器リーチの短いキャラに使うバクステ狩り技とは別の、特別にリーチの長い技を用意するか、あきらめる必要がある。
写真はパトロクロスがヒルダのネーエルンバイン(

RUN中K/中)をガードして、バクステ狩りを試みたが、ストライクジャスティス(


B/中)が届かず空振りしている。ちなみにこのケースはヒルダ側−12Fなので、12+20=32F以内でヒルダを追える技なら可。正解は、のばし入力のストライクジャスティス(


〜B)。

また、リーチの長い横斬りであれば、バクステ狩りと横移動狩りを兼用できる。写真はシバの疾旋棍(

A/上上)。

記事では、バクステスカ > 2Kシステム > バクステ狩りの順番で紹介したが、実際に身に付ける際は2Kシステム > バクステスカ > バクステ狩りの順序になる。
クイックバトルを利用する場合、検索条件で相手の強さを上級者に設定し、攻撃性と接近戦のパラメータが高く、武器リーチの短いキャラクタを選べば、練習に適当なCPUが見つかりやすい。
ただ残念なことに、CPUにはバクステスカというルーチンがほとんどなく、バクステ中もなぜかガード可能なため、バクステ狩りの練習をすることはできない。バクステ狩りの練習には、どうしても対人戦が必要になってくる。
対人戦で練習する場合、こちらの手のうちにハマってくれる――悪い言い方をすると、
無知につけこんで試し斬りさせてくれる対戦相手を探す必要がある。さらに三段階、「2Kシステムにハマってくれる(初心者) > 2Kシステムに対抗しようとして出の早い技を振ってくれる(バクステスカの
的) > 2Kシステムにバクステスカで対抗してくる(バクステ狩りの対象)」にそれぞれ対応した対戦相手が必要になってくる。
この三位一体の技術が身に付くかどうかが、初心者と中級者を分ける大きな壁になっている。逆にいうと、これが身につかないばかりに初心者に甘んじるプレイヤーが非常に多い。なんとかこの感覚をつかんで、初心者帯から抜け出そう。

キャラによってバクステスカの得手・不得手があるわけだが、その評価は、さまざまな要素がからみあって、簡単にはできない。
マキシはバックステップの性能が全キャラの中でもトップクラス。……なのだが、スカに使える技に恵まれていない。さがれるくせにマキシ自身の武器リーチは短いため、相手に届く技が限られてしまうのだ。張式改・並び双哭漢駆け〜禄存(

a+b-A+B+K/中)は、発生16Fという発生の早さ、リーチの長さ、コマンドの簡易さでスカには申し分ないのだが、ゲージ消費というコストの問題が付きまとう。

足の速そうなイメージがあるラファエル。実際、移動性能は申し分ないのだが……。バックステップのモーションにおいて、足を残すようなさがり方をするため、密着から

Aや

Kなどの打点の低い技を振られると引っかけてられてしまう。また、火力が低く、せっかくスカに成功してもダメージが頭打ちで決定打に欠ける。

バクステスカが強力なことで有名なセルバンテスだが、実はバックステップ性能が高いわけではない。なのにバクステが機能するのは、セルバンテス側から仕掛けた場合のヒットバックやガードバック後の間合いが遠く、バックステップに有利な間合いが作りやすいため。もちろん、ノーゲージで体力4割を消し飛ばす高火力+リーチ長の恩恵もある。
一応、バックステップ自体の性能を計測したデータがあるので、参考までに。
⇒バックステップ/RUN